シーサイドホテル舞子ビラ神戸 公開:2025年 / https://maikovilla.co.jp/

Pl. 岡本 / Dr. 浦川 / De. 長川・佐々木・近藤 / Eng. 福田・高野
Partners
Ph. 森川 諒一
Issue
古いシティホテルからの脱却と、リニューアルに頓挫した過去
シーサイドホテル舞子ビラ神戸は、瀬戸内海と明石海峡大橋を目前に望む、神戸・舞子を代表するシーサイドリゾートホテルです。神戸マイスター監修のレストランを擁し、地域の方々の記念日や特別な日の場として長年にわたって愛されてきました。
今回のリニューアルの発端は、別館「緑風館」のフルリニューアルです。大浴場・サウナの拡充やデザイナーズルームへの刷新など大きく生まれ変わった施設の魅力を、既存サイトでは十分に伝えられていませんでした。サイト全体が「古いシティホテル」という印象を与えてしまっており、親会社の経営体制刷新を機にブランドイメージをアップデートしたいというご要望も重なりました。
加えて、Webサイトの更新は制作会社を介してでしか変更できず、タイムリーな情報発信に支障をきたしていました。集客担当と現場担当で意見が合わず、過去には何度かリニューアルが頓挫した経緯もあります。そうした状況のなか、「建物のリニューアルに合わせて4ヶ月でサイトを公開したい」というタイトなスケジュールでのご依頼となりました。
Proposal
鍵となったのは、全員の意見が交わる“人と場の設計”
4ヶ月という期限のなかで確実にリリースするために、まず取り組んだのが進行体制の設計です。過去に何度かリニューアルが頓挫してきた背景には、社内の意見がまとまりにくいという構造的な難しさがありました。そのため隔週での定例MTGを設け、毎回その場で意思決定を完結させる進め方を提案しました。現場サイドがこだわりを持っているエリアについては、現地に赴いてしっかり向き合う時間を設けるようにしました。
デザインの方向性は、「古いシティホテル」という既存イメージから、絶景とグルメを楽しむリゾートホテルへの転換を提案しました。ただし、地域に長く愛されてきた親しみやすさは残しながら、新館のモダンなリゾート感を共存させる「高見えしすぎない」絶妙なトーンを目指しました。また集客担当者の理想の運用イメージを丁寧にヒアリングし、CMS・管理画面をその要望に合わせてカスタマイズすることで、公開後の使いやすさも設計段階から織り込みました。
こだわりの強いレストランページについては、料理長にもMTGへ参加いただき、会議の場でリアルタイムに写真選定と方向性を確認しながら進めるなど、集客サイドと現場サイドの意見が交わる場を丁寧につくることが、本プロジェクトがスムーズに進行するために重要なポイントだったと感じています。
Concept
親しみやすさはそのままに、新しいリゾート感を纏う

コンセプト策定にあたって、まず舞子ビラ神戸というホテルの本質を読み解くことから始めました。神戸マイスター監修のレストランを擁し、地元でも「食事が美味しいホテル」として親しまれていること。そして地域の方々が記念日やお祝い事に何度もくり返し訪れる場所であること。この二つの事実から、このホテルが提供してきたのは「ちょっと特別な日のハレの日感」だと読み解きました。
その想いを言葉にしたのが、コンセプト「すべての特別な日を、海のように包みこむ。」です。クラシカルな本館とモダンな新館、趣向の異なる3つのレストラン、豊富な館内施設——多様なゲストをそれぞれに受け入れるホテルの懐の広さを、目の前に広がる海の雄大さと重ね合わせています。ビジュアルのトーン&マナーは「キラキラ・ゆったり・上質」の3軸で設定し、これがサイト全体のデザイン判断の拠り所になりました。
このコンセプトに対してホテルサイドからは、「舞子ビラの伝統や地元の方に愛されてきた背景を汲み取った上で、今っぽいデザインに仕上げてくれた」「今まで利用してくれているお客様にも、まだ利用したことのない若い客層にも好んでもらえそう」というお声をいただきました。
Design
ちょっと特別な日への、期待がそっと膨らむデザインに
海のきらめきを起点にしたビジュアル設計
コンセプトをデザインに落とし込む際に、まず取り組んだのがファーストビューの設計です。明石海峡大橋を映した写真を画面いっぱいに展開し、ページを開いた瞬間にロケーションの魅力が伝わるようにしました。画像の出現アニメーションはあえてゆったりとしたテンポに設定しています。都会の喧騒から切り離されたような開放感と、上質な滞在体験の予感を、動きのなかで表現したいと考えました。
3つのレストランを「色」で際立たせる
有栖川、サントロペ、キーウエストという趣向の異なる3店舗を、同一のページ構成テンプレートで統一しながら、メインカラーだけをそれぞれの雰囲気に合わせて変える手法を採用しました。構成を揃えることでホテルとしての一体感を保ちながら、カラーで各店舗の個性をひと目で識別できる設計です。料理の写真を大きく使い、「食が強いホテル」という印象をビジュアルからも伝えることを意識しました。



Engineering
“自分たちで更新できる”体制を設計段階から
今回のリニューアルで特に力を入れたのが、クライアント自身が情報を更新できる仕組みの設計です。以前は制作会社を通じなければ更新できなかったため、週1回以上発生していた更新作業がそのつど外部への依頼になっていました。
集客担当者が最も発信したかったレストランメニューのコンテンツについては、プランナー・ディレクター・エンジニアがクライアントと仕様を細かく詰めました。「この部分をこう変えられると便利ですか?」と積極的に提案を重ねながら、実際の運用フローを想定した機能設計を進めています。客室や施設情報といった固定ページについても、CMSの管理画面から直接編集できるようカスタマイズしました。専門知識がなくても担当者様が迷わず操作できる設計にすることで、公開後に情報の鮮度をホテル側でコントロールできる体制が整いました。
Process
積み重ねた関係性が生んだ、「全部お任せします」のひと言。
撮影のために数日間ホテルにお邪魔した際、現場は最初、緊張感が漂っていました。ホテル自慢の料理の撮影、天候に左右される客室やロケーションの撮影——こだわりの強い現場で、私たちも気を引き締めて臨みました。
撮影中に出るさまざまな要望にも柔軟に対応しながら撮影を重ねるなかで、料理長様からも少しずつ信頼を寄せていただけるようになり、ある日「あなたたちなら良い感じできっと撮影してくれるはずだから、全部お任せします」と声をかけていただきました。その言葉が、この撮影で一番嬉しい瞬間でした。
本撮影では、最終的に7日間で2,000カットを超える枚数を撮影。現場サイド・マーケティングサイド・代表様にも喜んでいただける品質に仕上げることができました。
撮影後には、ほぼ毎日「お疲れ様会」を開いていただき、舞子・垂水エリアの隠れた名店をいくつもご紹介いただきました。食の豊かな土地であることを体で実感した撮影期間——撮影開始時と終了時で体重が2キロ増えていたのは、ここだけの話です(笑)。
Result
公開後、ユーザー数27.3%向上。そして今も続く関係
サイト公開後、ユーザー数は27.3%向上、セッション数は25.3%改善という結果につながりました。宿泊予約数の向上や、SNSでのユーザー投稿が増えたなどのお声もいただいており、デザインの刷新とCMSの整備が、アクセス数の底上げに貢献できたと感じています。
リニューアルによって、ホテル側が自分たちのタイミングで情報を発信できる体制が整ったことも大きな変化のひとつです。以前は制作会社を介していたレストランメニューの更新なども、担当者様が直接対応できるようになりました。
撮影や制作の過程でホテルの方々とともに作り上げた経験は、私たちにとっても特別なものになりました。引き続き、舞子ビラ神戸様の情報発信をご一緒できたらと思っています。
仕様紹介
- レスポンシブウェブデザイン
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