位置情報を活用した「ジオターゲティング広告」は、誰に向けてどう使うのがベストなのか?

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インターネットユーザーの位置情報をもとに広告を配信できる「ジオターゲティング広告」は、特にスマートフォンの広がりとともに重要性が増しています。しかし「実際にジオターゲティング広告を活用するにはどうすればよいのかよく分からない」という方もいらっしゃいます。

そこで今回はジオターゲティング広告を上手く運用したい企業向けに、ジオターゲティング広告の使い方などをご紹介していきます。

ジオターゲティング広告とは

ジオターゲティング広告とは、「位置情報をもとに目標を定め、配信される広告」のことです。
GPS、ビーコン、IPアドレスなどから取得した位置情報をもとに広告を配信して、効果を得る広告です。

GPS

スマホなどに搭載されているGPS(Global Positioning System)を活用して、位置情報を取得できます。地球上には、位置情報を測定するために使われる衛星がたくさん打ち上げられています。そして衛星はスマホに向けて自分の現在の経度と緯度、そして送信時刻などをデータ送信します。GPSの精度を高めるために、データは複数の衛星から送信されます。

ユーザー側の機器では、各衛星からデータを取得した時間、各衛星の経度や緯度などを受信します。そして取得したデータをもとに計算を行い、機器を持っているユーザーが今どこにいるのかを測定します。

ビーコン

ビーコンで位置情報を取得する方法もあります。ビーコンとは備え付けの情報端末のことで、近くにいるユーザーに情報を送信したりする役割を果たします。最近ローソンではBluetoothをONにした状態でLINEを起動させると、抽選で商品やポイントがプレゼントされるキャンペーンを始めました。このキャンペーンもビーコンを使ってユーザーの来店を認識することで実現しています。

GPSと比較してビーコンの情報発信距離は短いので、付近にいる顧客以外にはデータを遅れません。しかしその分精度は高く、例えば建物の2階にいる顧客を認識したりと、GPSではできないピンポイントな使い方ができます。

IPアドレス

IPアドレスによって位置情報を取得する方法もあります。IPアドレスは割り当てのパターンが決まっているので、場合によっては大まかな緯度と経度まで把握して取得できます。ただし精度はGPSやビーコンといった他情報に比べて低く、単独で正確な位置を調べるのには不向きです。ですから利用の際は、他技術と組み合わせて精度を向上させるケースも多いです。

ジオターゲティング広告はパソコンにも、スマホにも配信できますが、特にスマホの普及がジオターゲティング広告の需要促進に大きな影響を及ぼしています。スマホを持っているユーザーは、どこにいても手軽にインターネットに接続できます。そしてスマホを持っているユーザーの位置情報に応じて適切な広告を出せるジオターゲティング広告は、さまざまな使い方ができます。

ジオターゲティング広告の4つのメリット

ジオターゲティング広告には、次のようなメリットがあります。

ピンポイントな配信で、コストを抑えて効率よく広告配信ができる

従来のDMや新聞折込チラシなどを使った方法でも、地域に合わせた宣伝は可能です。しかしDMは見ないでそのままゴミ箱へ、というパターンも多いですし、新聞折込チラシは新聞を購読していない方には届きません。デジタル社会になった現代ではこういったアナログの集客手法は非効率で、紙代や印刷代などもかかるためコストもかさみます。

一方パソコンやスマホといったデジタル機器は、今や1家に1台はあると言っても過言ではありません。ジオターゲティング広告を使うとDMや新聞折込チラシのように、ターゲットユーザーの位置情報に合わせて適切な広告配信ができます。また配信にかかるコストもアナログベースの集客手法に加えると抑えられますし、コスト調整も柔軟にできます。

ちなみにWeb広告では位置情報を使わないでターゲティングする方法もありますが、この場合全国の方に広告が配信されてしまう場合もあるため、「自社の拠点がある地域でだけ勝負をかけたい」というケースには向いていません。ジオターゲティング広告だと地域を絞って広告配信できるので、デジタル画面にDMやチラシを配布する感覚でピンポイントに広告を出せます。

他データと組み合わせて、広告配信が可能である

ジオターゲティング広告では、何も現時点の位置情報だけで広告を配信するわけではありません。他のデータと組み合わせながら、さらに精度の高い広告を配信できるようになります。

例えばインターネットの閲覧履歴と組み合わせて、「このユーザーはスイーツ店の情報をよく見るから、近隣にあるスイーツ店の広告を配信しよう」といったように、コンピューターが自動で判断して配信することもできます。また位置情報をもとに行動履歴を調べて、「このユーザーは〇〇エリアによく買い物に行くから、〇〇エリアにある商業施設の広告を出そう」といったターゲティングも可能です。

このように他データと組み合わせてより精度の高い広告配信が可能なのも、ジオターゲティング広告の魅力です。

OtoO施策にも効果的である

ジオターゲティング広告と相性がよいのは、実店舗を持っている企業です。インターネットが普及した今、実店舗を持っている企業でもインターネット経由で集客施策を打ち、実店舗への来店につなげる「OtoO(Online to Offline)」が盛んにおこなわれています。

ジオターゲティング広告を使うと、お店の近隣にいる見込み客にセールなどの広告を配信して、リアルタイムで来店へつなげられたりと、OtoOに有効な施策をいろいろと打てるようになります。詳しくはこの後説明する「BtoC」の事例で説明していきたいと思います。

分析を行って、精度を高められる

Web広告では、配信後の分析を行って、次へつなげられるのが大きなメリットの一つとして挙げられます。そしてジオターゲティング広告でも、分析を行ってより広告の精度を高められます。

例えばAのエリアに広告を配信した後、「思ったより男性のコンバージョンにつながらなかったので、次は女性への配信の割合を多めにしよう」、「日時で分けると昼より夜の方が広告効果が高かったので、次は地域をもう少し広げて夜だけ配信してみよう」など、他情報と併せて柔軟に広告配信できます。

ジオターゲティング広告はこう使おう

ここからは、ジオターゲティングはどのように使えるか

BtoBの場合

地域に焦点を当てたソリューションサービスなどを展開している場合などは、ジオターゲティング広告を使うと効果的な集客が可能になります。

例えば自社がエリアAにあるとして、同じエリアA内の企業や個人事業主に対して広告を配信したいとします。そして位置情報などと併せて配信時間、ターゲットが興味のあるものなどを入力します。そして広告を配信すれば、自社が狙った企業や個人事業主に、ピンポイントに広告を配信できます。位置情報だけでもピンポイントな広告配信はできますが、これに企業や個人事業主が広告を閲覧するであろう時間、またよく業務でよく閲覧しているジャンルなどを加えれば、さらに確度の高い配信が可能になるというわけです。

また自社に来社して相談をしに来たクライアントなどにも過去の来社履歴をもとにジオターゲティング広告を打てば、コンバージョンにつながる可能性が高くなります。

BtoCの場合

BtoCでのジオターゲティング広告と相性がよいのは、先ほども言ったように実店舗を持っている企業です。

自社が商業施設Bを運営しているとして、効率的に集客をかけて売り上げを伸ばしたいとします。まずはGPSを使って、商業施設Bの半径数Km内にいる見込み客にセール情報などをジオターゲティング広告配信します。この際見込み客がどういうお店に立ち寄るかなども判断材料にして広告配信すると、一層精度が上がります。

次に来店してくれた顧客を自店舗専用のスマホアプリやGPS、ビーコンなどを使って認識し、来店を検知します。さらに階が分かれている場合は各階ごとにビーコンを配置することで、「このお客は2階のアパレル店でお買い物をした後、3階のフードコードで食事をした」などの回遊履歴までデータとして残せます。

この方法だとジオターゲティング広告を使ってどのくらい実際の来店につながったかを可視化できるので、来店率などで広告効果を簡単に把握できます。また集まったデータを分析することで、「次はジオターゲティング広告のエリア範囲を少し縮めてみよう」、「2階のアパレルに寄った顧客には3階のフードコートで使える割引券をプレゼントしよう」などの施策も簡単に打てるようになります。

ちなみにジオターゲティングは広告だけでなくアプリとも相性が抜群で、自店舗のアプリを制作してジオターゲティング技術と連携させた施策を行う店舗も増えてきています。

例えば来店時にスタンプをプレゼントして再来店を促したり、プッシュ通知で各階にあるお店のクーポンをビーコン経由でプレゼントしたりと、さまざまな有効施策が打てます。「自社で運営している店舗の集客に課題がある」という場合は、自店舗アプリとジオターゲティングを連携させた集客施策もおすすめです。アプリの制作費用を抑えられるサービスも出ているので、規模が大きくない企業でも導入可能です。

ジオターゲティングを活用しているサービス3選

ここからはジオターゲティングを活用しているサービスを、3つ厳選してご紹介していきます。ジオターゲティング広告サービスを検討する際の参考にしてください。

LINE Beacon

LINE Beacon

参照:LINE Corporation

「LINE Beacon」は、LINE株式会社が提供するLINEアプリとビーコンを活用したジオターゲティングサービスです。

導入するお店ではまずビーコンを店舗内に設置します。そして自社アカウントをLINE内で友達追加してもらいます。現在は「LINEチェックイン」という機能が使えます。LINEチェックインでは顧客の店舗来店時にビーコンでそれを認知し、抽選参加のメッセージを流せます。顧客は抽選に参加して、さまざまな景品を受け取れます。受け取った内容はタイムラインにもシェアできるため、来店していないLINEユーザーにも自店舗の訴求ができます。

LINEは国内の代表的なSNSであり、通信手段としても使えるとあって多くのユーザーがいます。ブランド力の高いLINEに作ったアカウントとLINE Beaconを組み合わせることで、店舗では来店顧客をピンポイントにターゲティングしてリピーターを獲得できるようになります。

Shufoo! Audience Targeting Ad

Shufoo! Audience Targeting Ad

参照:Shufoo! Audience Targeting Ad

近隣のお店のチラシをデジタルで閲覧できる「Shufoo!」には、「Shufoo! Audience Targeting Ad」というジオターゲティング広告プラットフォームサービスがあります。

Shufoo! Audience Targeting Adでは、まずユーザーがどんなお店へ買い物へ行くかなどを買い物行動圏として取得します。さらにShufoo内でどんなカテゴリを調べるかなども取得して、それらをサーバーへ保存します。集まったデータをもとにLINEや国内主要Webサイトなどに広告を配信します。

複数の媒体にジオターゲティング広告を配信できるので、効率よくユーザーとのタッチポイントを想像できます。またオプションをつければ、来店計測が可能になりさらに細かい効果分析が可能になります。

MicroAd Geo-Targeting

MicroAd Geo-Targeting

参照:MicroAd Geo-Targeting

マーケティングプラットフォームを開発している株式会社マイクロアドでは、「MicroAd Geo-Targeting」というジオターゲティングDSPを提供しています。複数の企業と連携した膨大なネットワークにより、正確なジオターゲティングが行えるのがメリットです。

例えば勤務地、居住地などに応じて広告を配信し、実店舗への来店を促すことなどが可能です。MicroAd Geo-TargetingがGPSを使った高精度な位置情報取得技術と、大手アプリから入手した月間2000万UD以上という国内最大規模のデータを有しているからこそ実現する機能です。

「既存のチラシなどのアナログ的なエリア広告から、デジタルのエリア広告へシフトしたい」といった希望をお持ちの方に最適なサービスです。

まとめ

今回はジオターゲティング広告の有効な使い方を、活用のメリットやおすすめのサービスまで含めてご紹介してきました。

ジオターゲティング広告は、特に地域を絞って商品やサービスを提供している企業におすすめです。「DMやチラシをまだ集客に使っている」という場合は、ジオターゲティング広告に切り替えることでコストを抑えながら集客できますし、柔軟に施策を打てるようになります。

この記事を描いたひと

untenna編集部

企業のWeb担当者と制作会社の想いをつなげるメディア「untenna」の編集部。

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