テレビ広告からインターネット広告へ。Web・SNS・ネットTV、移り変わるデジタル広告市場について。

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インターネットとスマホの普及により、広告媒体がテレビからインターネットのデジタル広告に移り変わり始めました。もちろん、まだまだテレビ広告も存在していますが、ネットのオンラインサービスの広告の存在もかなり大きくなっているのも事実です。

今回はテレビ広告からインターネット広告へ移り変わり始めた理由や流れについてご説明します。

インターネットとスマホの普及で広告の媒体が増えた

インターネットとスマホの普及で広告の媒体が増えた

視聴者やユーザーが考えているよりも「広告」は非常に大きい存在です。例えば、スーパーやコンビニで商品を購入する時、知っている商品と知らない商品では知っている商品の方が選ばれます。なぜなら、商品を出す企業やブランドに対する信頼感も含めて「広告」から情報を得ているからです。

テレビからインターネットに移り変わり始めたのは「デバイス」や「媒体」が増えたことが大きい要因と言えるでしょう。

昔はテレビ・ラジオ・新聞・雑誌・噂や口コミが全てだった

昔は誰でもインターネットを使える時代ではありませんでした。情報源と言えばテレビ・ラジオ・新聞・雑誌、噂や口コミであり、自分自身の目で見える範囲が世間や世界を作っていたとも言えます。

NHKを除けば、テレビは無料で視聴することが可能です。無料の理由は広告主からの広告収入でテレビ番組が作られ、その間にCMという形でコマーシャル広告が挟み込まれているからなんですね。

CMによって商品やブランドが認知されることによる影響は非常に大きいです。知らない物を知っている物の方が安心という消費者心理があるためです。

現代では全ての媒体を個人で好きに取捨選択可能

現代ではテレビや新聞といった媒体以外に、スマホやパソコンでインターネット上にあるオンラインサービスが利用可能となりました。インターネット環境とデバイスがあれば、無限に存在する情報源にアクセスできるようになり、自分の好みでサイトやメディアを選ぶことができます。

テレビや新聞からすれば「見てもらう時間」が少なくなっている要因であり、それこそテレビを持っていない人も少なくありません。そうなれば広告主はテレビ以外のインターネット上のデジタル広告にお金を払うようになるが必然だということになります。

広告の根本的な部分については変わっていない

デジタル広告に移り変わっているとはいえ、広告の根本的な部分は同じです。

企業やブランドとして認知してもらうこと。
新商品やサービスを知ってもらうこと。

そして何よりも「信頼」や「安心」を感じてもらうことが大切であり、結果的に売上や利益に繋げるために広告が存在しているということです。逆に言えば、見てもらえる場所に広告が置かれるようになっているだけのことであり、今の時代の流れで言えば、ごく自然で当たり前のことでもあります。

テレビ広告や新聞広告の時代が終わったわけではない

テレビ広告や新聞広告の時代が終わったわけではない

デジタル広告に移り変わっているとはいえ、まだまだテレビや新聞広告の時代は終わりではありません。しかし、広告の媒体が増えたことにより、視聴者やユーザーの目に触れる場が増えた分、見てもらえる可能性が減ったのは確実です。

極端なことを言えば、テレビを見ていない人にテレビCMは見てもらえませんし、テレビしか見ない人にインターネットのデジタル広告は見てもらえないということでもあります。広告主からすればどの媒体にお金を払うことが費用対効果が一番大きくなるのか模索し続けている段階とも言えるでしょう。

「テレビを見ない」のではなく「ネットを見ている」

「若者のテレビ離れ」という言葉がありますが、Twitterのトレンドなどをチェックしているとテレビ番組や芸能人、有名人がトレンドワードに上がっているのを見ていると、特定の世代や年齢層がテレビを見ないというイメージにはなりません。

テレビを見ないというより、テレビも見るし、ネットも見る。でも、物理的にネットを見ている時間の方が多いかもしれないという印象が強いと言えます。そうなれば、テレビ広告とデジタル広告の両方で広告を出さざるを得なくなりますが、広告費も無限ではありませんから、どちらを優先すべきか悩ましい状態です。

企業やブランドによってはターゲットとなる年齢層や客層に合わせて、どちらの広告を使うべきか、ブランディングや営業戦略を練っているでしょう。

むしろ、スマホやパソコンを使わない世代も存在する

テレビを見ない層よりも、スマホやパソコンを使わない世代や層の存在の方が広告主からすれば厄介な可能性もあります。なぜなら、デジタル広告を見てもらえない可能性が高いですから、デジタル広告に注力した分、費用対効果としてはマイナスとも言えるからです。

今でこそスマホもパソコンも当たり前のように感じますが、今でもスマホもパソコンもないことが当たり前の人も存在します。

1980年以降のデジタルネイティブと呼ばれる世代と、それ以前の人口分布を考えると分母的には同数か、もしかしたらまだまだテレビのほうが優勢であるかもしれない可能性もあるでしょう。

注目されるメディアに広告市場が少しずつ推移している段階

YouTubeを例に挙げるとすれば、動画の間にCMが挟まれていたり、YouTuber自身が広告主から依頼を受けて商品を紹介することがあります。Twitterで言えばプロモーションツイートという形でユーザーの目に触れやすい場所に広告を載せている企業やブランドも珍しくありません。

Googleでも検索結果に企業やブランドの広告掲載されていることも、今では当たり前のことであり、テレビと同じように無料で利用できる分、広告主が存在しお金を払っていることがわかります。少しずつ、そして確実にデジタル広告が増えていること、推移していることは現代を生きる人にとって実感しやすいと言えるでしょう。

テレビ広告における3つの弱点

テレビ広告における3つの弱点

テレビ広告からインターネット広告に移り変わる中で、テレビや新聞の弱点とは何だろうか。

企業やブランドが広告主として得たいのは「売上」であり、売上に繋がる広告はどこかということに収束すると言えるでしょう。極端なことを言えば、同じお金を出すなら、媒体は何でも良いということでもあります。

インターネット広告とテレビ広告を比べた場合にテレビや新聞の最大の弱点となるのはどの部分か考えてみました。

リアルタイムで視聴するか録画しなければ見逃す可能性がある

テレビとインターネットのコンテンツを比べた場合、単純に「もう一度見る」ことや「見たいタイミングで見る」ということが柔軟でないという弱点があります。過去の番組を閲覧するのも難しい場合の方が多く、ある意味、機会損失が起こりやすい媒体であるのではと感じてしまいます。

例えば、録画し忘れた過去のテレビ番組を見ようとした場合、どこかで違法にアップロードものを探す以外の方法で再度閲覧する方法は思いつきません。インターネットの自分の好きなタイミングで好きなものを見れるという利便性と比べると見劣りしてしまい、わざわざテレビを見なくてもと感じてしまう原因ではないかと考えます。

契約をしてまで新聞を読む必要性を感じられるかどうか

新聞は物理的に紙の媒体ですから、購入する必要がありますね。新聞各社のインターネットサイトもありますが、読みたいと感じる記事は有料会員や記事毎に課金する形式となります。

また、ほとんどのニュースは無料で全容をほぼ閲覧できるものばかりであり、わざわざ新聞をとってまで新聞を読むというのは現代の感覚で言えば「もったいない」ように感じられてしまうのも事実でしょう。

ただし、テレビや新聞のマスメディアとしての役割、情報の正確性や真実を伝えようとする姿勢と、真実が嘘か見極めねばならないインターネットの情報を比べることは難しい問題でもあります。

インターネットがあればわざわざテレビを見る必要が無い

一昔前であればテレビや新聞が主な情報源でしたが、今はテレビを見なくてもインターネットに接続しているデバイスさえあれば情報を得ることができます。簡単に言えばテレビを見なくても困らない、テレビがなくても生活や仕事に支障がないということです。

しかし、インターネットは生活や仕事なども含めて必要不可欠な存在となりました。もちろん、世代や人による部分もありますから、一概に世間一般の方々がテレビを見る必要がないと感じているとは限りません。だからこそ「必要ではない」と感じられてしまうこと自体がテレビの弱点となっているのではないかと考えます。同時に、テレビは検索性やアーカイブに適しておらず、内容を「見る」ことでしか確認できないというのはインターネットが普及した今では不便に感じてしまうのも事実です。

NHKの常時同時配信によって パワーバランスは変わるかもしれない

NHKがテレビ放送と同時に、インターネットでも常に放送を見ることができるようにするサービスを始めようとしています。

NHKテレビ放送 ネット常時同時配信可能に
“NHKのテレビ放送のインターネットへの常時同時配信を認める改正放送法が、参議院本会議で自民党や立憲民主党などの賛成多数で可決・成立しました。

放送と通信の融合などテレビを視聴する環境の変化に対応するため、NHKのテレビ放送のインターネットへの常時同時配信を新たに認める放送法改正案は、29日の参議院本会議で採決が行われました。”


引用:NHK政治マガジン「NHKテレビ放送 ネット常時同時配信可能に」より

広告やCMのないNHKが常時同時配信を行うようになることで、NHKと民放とインターネットの「広告」に関するパワーバランスに変化が訪れる可能性も考えられます。

スポンサーを必要せず、圧倒的な資金源のあるNHKと広告主ありきのテレビ、広告主だけでなくBtoCによる収入もあるインターネット、比べることが難しい状態とも言えますね。

例えば、テレビが見たければスマホやパソコンでNHKを見れば良いし、コンテンツはインターネットで見れば良いとなれば、テレビその物が必要となくなり、民放が見られることが少なくなるかもしれません。

マスメディアとコンテンツ配信

NHKも民放もマスメディアとして真実を伝えるという側面もあります。インターネットのメディアやサイトは真実もあれば嘘もある。同時に伝え方によって印象やイメージを変えられるのは全てのメディアに言えることであり、良い意味でも悪い意味でも自分が何を信じるべきなのかわからなくなる「情報過多」の時代であるのは間違いありません。

また、テレビ番組というコンテンツの制作という点で考えた場合、インターネットのメディアではできないようなことが、逆にテレビだからこそできるということもあります。

人間の時間は有限ですから、自分で何を選ぶのか、何を見るのか、無意識でも選ばなければならないとも言えるでしょう。

本当に信頼できる・信頼すべき情報源となり得るのか

信頼できる、信頼すべきというのは結局のところ視聴者やユーザーとして選ばれるかどうかということに尽きます。

信頼できるから見る、見ないを決めるとは限らないにせよ、信頼=安心となり、視聴者やユーザーが広告を見た時に受ける印象やイメージが高くなるのは間違いないでしょう。テレビや新聞の報道も誤ることはあります。人と人の集まりですから、完璧はありえません。

信頼性だけで考えるとインターネットのメディアはまだまだ未成熟であると言わざるを得ない部分もあるでしょう。

タッチポイントの増加により「広告の媒体」が増えただけ

結論づけると視聴者やユーザーの情報源、コンテンツ閲覧先が増えたことで、広告を出す媒体が増えただけのことのようにも感じます。ごく個人的なことを言えば、広告を見て商品の購入やサービスを利用するきっかけとなったことがたくさんあります。

テレビ広告からインターネット広告に移り変わるなかで、自分自身が欲しいと感じられるものや、知りたかったことが含まれる広告が、なるべくなら今までのように自分の目に写ることを切に願いたいなと思いました。

極論を言えば、今までテレビや新聞などのメディアが培ってきた情報源・情報媒体としての信頼や安心感をインターネットが受け継ぐことができれば、視聴者やユーザーにとってプラスになるということでもあります。

もしかしたら、広告そのものの基礎や根幹が変化している時代に直面しているのかもしれませんね。

ほったはU-NEXT派です

この記事を描いたひと

untenna編集部

企業のWeb担当者と制作会社の想いをつなげるメディア「untenna」の編集部。

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